宮古島のタカラモノ、宮古上布「宮古島工房うむくとぅ展」

2022.03.26

こんにちは。宮古島の手織物、伝統工芸である宮古上布の展示を見に、東京神田神保町の老舗「大和屋履物店」に行ってきました。

私の15歳の時からの友人が宮古島に移り住んで3年。学生時代から「文様」に惹かれていた彼女が島で見出したのが400年あまり受け継がれてきた手織物。宮古島の宝もの、伝統工芸「宮古上布」でした。

上布とは上納品。1609年に琉球は薩摩の支配下となり、1637年に人頭税が課せられるようになると、麻織物の最高級品である宮古上布は貢布として納付することが義務付けられました。戦後の米国による統治を経てなお、大切に継承されてきた伝統工芸。

その素晴らしさを国内外から再認識していただくことで更に魅力を高めつつ、次の世代へ生き生きと伝えていきたい」という想いから生まれたブランドが「宮古島工房うむくとぅ」。「うむくとぅ」の意味は、宮古の言葉で「知恵」。「先生に『うむくとぅを出せ』と叱咤いただきながら織を学んできた」という友人にとって、とても思い出深い言葉なんだそうです。

麻の一種である苧麻(ちょま)の茎から作った糸で織られる宮古の麻織物。苧麻から繊維を取り、細い糸に績み、図案を描き、染色、砧打ち、など沢山の工程があり、そのひとつひとつに専門性がある。多くの人の力が集まった物作りであるということも特徴のひとつだそうです。

店内に入った時に感じたのが、太陽を浴びた大地の暖かさ。人の手で時間をかけて丁寧に織られた「纏える自然」。

南の島の風が通り抜けるのが感じられるような薄さ。軽くて強くてしなやかな…不思議な質感でした。

宮古上布の特徴である「十字絣(かすり)」。

数センチ織ったのちに針で柄を合わせていき、また数センチ織り進む、気が遠くなる作業です。織る仕事のみならず細い糸を作るまでの工程、絣と藍染の美しさ、仕上げの砧打ちの力強さ。機械織を導入せずに続けられ、現代においては有り得ない、全ての工程が総て手仕事から生まれる美しい布です。一反織上げるのにかかる時間はなんと1年程。途轍もない作業の連続です。(「大和屋で宮古島工房うむくとぅ展」開催までの物語 vol.2

金色のサナギで知られる琉球の蝶「オオゴマダラ(大胡麻斑)」をモチーフにした注染手ぬぐいも、

友人の織った宮古上布を花緒にして作った大和屋さんとのコラボレーション下駄も素敵でした。


下駄の裏がカワイイ!!と叫んだら、

大和屋さんの5代目が「子ども用の下駄にはパンダちゃんもあったんですよー」と教えて下さった。裏地とか〜外からは見えないけど、自分だけ嬉しい部分に凝るのってイイよね。

下駄たちがズラリと並ぶと端正。

大和屋さんのお嬢さんである型染作家の小倉充子さんの手拭いも素晴らしかった。図案と色合いの格好良さとユーモア、描く対象への愛情が詰まっていました。

小倉さんは2012年4月、隈研吾設計でリニューアルオープンした浅草文化観光センター内の壁面タペストリーもデザインされています。

今年は浴衣を誂えて素足に下駄で出かけたい!そんな気分にさせられた日でした。

帯留や半襟など、細部にまで美意識が宿る着物という文化。新たな視点で捉え、楽しむ輪が広がれば素晴らしい。書きながら「奇想のモード」展でみた百足の帯留めを思い出した。(記事「東京都庭園美術館『奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム』展」)

中央:帯留「百足(むかで)」(昭和期)池田重子コレクション

島の織り手の方たちはヤマト(東京)での反応を楽しみにしているそうです。苧麻という植物から糸を作り布にして下さる方たちと、実際に着る人たちとの「距離を詰めたい」と5代目店主。

私の弱みは誰かの強みが補ってくれる。その反対も然り。みんなの凸凹が、色んなカタチの個性が、上手く組み合わさってきっと世界は愉しく回っていく。そんなGIVE & TAKE。究極、お金って必要なくなるんだろうなーと最近考えてる。

是非この機会に、宮古島のタカラモノ、宮古上布を見て触れてみて下さい。

宮古島工房うむくとぅ展

2022年3月26日(土)〜28日(月)

大和屋履物店

東京都千代田区神田神保町3−2−1サンライトビル
営業時間:11:00-19:00

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