じっと見る そっと見る 美しい 宝物。特別展「日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱」東京藝術大学大学美術館にて開催

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2022.04.04

こんにちは。東京藝術大学大学美術館にて、2022年8月6日(土)から9月25日(日)まで開催される 特別展「日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱」のプレス発表会に行って参りました。

皇室に代々受け継がれた美術品類を収蔵する宮内庁三の丸尚蔵館。今回その優品82件が展示されるのは、東京藝術大学大学美術館。東京藝術大学は1890年、岡倉天心が東京美術学校で行った日本美術史の講義を初めて体系的に行った場所。

この両者共同の展示は、鑑賞者が最初に見る作品のかたちやモチーフに焦点を当て、日本美術を分かりやすく、そして楽しんでもらえるようなアプローチをとっています。

本展は4つのテーマでひも解かれています。

文字からはじまる日本の美」:平安時代、日本人の感性によって生み出された優美な仮名は、物語や和歌を発展させ、さらにそれらによる様々なモチーフが豊かな美術意匠へと展開していく土壌を築きました。

粘葉本和漢朗詠集(でっちょうぼんわかんろうえいしゅう)》(通期展示 帖替あり)

料紙は中国渡来の装飾紙・唐紙で、文字は楷書・行書・草書をまぜ、仮名を加えた「平仮名の完成形」が認められる古筆の名品。

文字を書くという行為が極端に少なくなったこの頃、こういった流麗な文字を見ると、己の字が恥ずかしくて習いに行きたくなる。文字って興味深い。ひらがなはとても神聖な文字だと感じる。

人と物語の共演」:人々の日常生活、信仰、回想や幻想などから創出された様々な物語は、折々の日本の四季の風景や人々の有り様を豊かに描き表わし、深遠な日本美の世界に我々を誘います。

国宝《蒙古襲来絵詞》(通期展示 前巻:前期展示② / 後巻:後期展示②)

鎌倉時代の2度の元寇に参戦した肥後国(現在の熊本県)の御家人・竹崎季長を主人公とした絵巻。躍動感に溢れ、武士の甲冑、馬具の忠実な描写が見事。描かれた「てつはう」は長崎の水中遺跡からも発見されているそうです。

太平楽置物》(通期展示)

パリ万博で世界にお披露目された、当時の日本における彫金の最高傑作。

矢を納めるやなぐいには矢は逆さに入れられ、「戦う意志がない」と平和の舞(太平楽)を象徴しています。両肩には龍の魔除け。

生き物わくわく」:人は様々な生き物と共存する中で、生き物への愛おしみや尊崇、感謝などの様々な想いを、美術造形に表現してきました。生命あるものへの多彩な眼差しによる表現のかたちを見つめます。

矮鶏置物》(前期展示①)

脚の細かな指や爪の表現、量感ある羽、毛並みの流れ、などまるっとカワイイ鶏、矮鶏(ちゃぼ)の特徴を見事に捉えた高村光雲の代表作。

国宝《唐獅子図屏風(右隻)》(前期展示①)

桃山芸術を代表する狩野永徳の迫力ある大作。現在は屏風のかたちですが、元は殿様が座る背後を飾る床壁貼付だったと考えられています。

羽箒と子犬》(前期展示①)

根付彫刻の技術を生かし、象牙で愛くるしい子犬が表現されています。羽箒の紐をくわえて遊ぶ、手のひらに乗るほどの小さく愛らしい姿と表情。

そして大好きな若冲の 国宝《動植綵絵》(後期展示①)

若冲が約10年をかけて制作した全30幅の大作。本展では、画面いっぱいに虫たちが生き生きと描かれた〈池辺群虫図〉や、姿美しの雄鶏が圧巻の〈向日葵雄鶏図〉など10幅が公開されます。

輪郭線を引かずに形体づける「没骨法」や、絵絹の裏側からも彩色する「裏彩色」を駆使し、若冲の心眼が捉えた生命にまた出会えます!!!!!ああ、2016年が蘇ります。(記事「『ひと月限りの、この世の楽園』若冲展〜若冲に酔う②」)

風景に心を寄せる」:豊かな自然は人々の心を動かし、古くから文学や絵画に表現されてきました。身近な風景や自然現象に対する素直な感動や畏怖の表現は、美の世界を広げ、さらなる感動をもたらします。

浜松図屏風》(前期展示①)

25羽の千鳥が穏やかに飛ぶ洲浜の情景。銀泥の細やかな波と金泥の霞、波間と砂浜のバランスが見事。

外に出たら走ってる日比野克彦さんに出会った。2022年4月1日に第11代学長に就任された日比野氏。コスチューム アーティストのひびのこづえさんのパートナーですね。(記事「森に棲む服/forest closet ひびのこづえ展」)

藝大の学長というと思い出すのが友人の学割。当時の学長は平山郁夫氏で「おー学割に平山先生の名前があるなんて!すごーい」と騒いだ記憶が。

桜も散った肌寒い雨の日でしたが、大切に継承されてきた美しい宝ものに出会えて嬉しい気持ちいっぱいで駅まで歩きました。この日本の国土が育んだ麗しきもの。

小野道風の《屏風土代》、鎌倉時代の《春日権現験記絵》と《蒙古襲来絵詞》、桃山芸術の代表作の狩野永徳《唐獅子図屏風》、江戸時代の伊藤若冲の《動植綵絵》といった、昨年宮内庁三の丸尚蔵館の収蔵品として初めて国宝に指定された5作品が公開される初の機会になります。特に《動植綵絵》は、芍薬群蝶図、梅花小禽図、向日葵雄鶏図、紫陽花双鶏図、老松白鶏図など10幅が一堂に会する貴重な機会です!是非。

*記事中の作品の所蔵先は、すべて宮内庁三の丸尚蔵館です。

特別展「日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱」
会期:2022年8月6日(土)〜9月25日(日) ※会期中、一部作品の展示替え・巻替えあり

前期展示:① 8月6日(土)〜8月28日(日)/ ② 8月6日(土)~9月4日(日)
後期展示:① 8月30日(火)~9月25日(日)/ ② 9月6日(火)~9月25日(日)

会場:東京藝術大学大学美術館
住所:東京都台東区上野公園12-8
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(9月19日(月・祝)は開館)
※詳細は展覧会公式HP

【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)

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