エルメス財団主催「転移のすがた」アーティスト・レジデンシー10周年記念展

2021.12.28

こんにちは。銀座メゾンエルメス フォーラムで開催されている「転移のすがた」アーティスト・レジデンシー10周年記念展に行ってきました。「アーティスト・レジデンシ―」は、アーティストをエルメスの工房に招聘し、職人と体験の共有や協働制作を行う財団のプログラムです。

エレベーターを降りると迎えてくれるのが、エンツォ・ミアネスの賑やかな作品。

レジデンシーの参加に協力を仰いでいる推薦者(メンター)とエルメスの工房に滞在するアーティストとの関係性に着目した本展。

ATBCシャール馬巣織工房、ホールディング・テキスタイル・エルメスに滞在したエンツォ・ミアネスと、メンターのミシェル・ブラジーとの出会いはパリのバー。エンツォがかけたレコードに惹かれて始まった会話から、二人は意気投合したといいます。

工房の織り機を見て、「 ”落下するもの” からある種の楽譜を作ろう」と思い立ったエンツォ・ミアネス。織り機を「機械式のピアノ」と表現されていたのが印象的でした。
モノの記憶を語る旋律を織り込む。馬の毛が作品になる。
音、でした。音が残りました。床には卵の殻などが散りばめられ、

歩くたびにザラリとした音が響きます。奥に見える骨はなんとビスケット!

そっと近づいて。ああ綺麗。

作品から感じられる旋律と、この「音」が交差して不思議な空間が出現していました。

コンセントからビームが発射されてたー

ビームといえば北斎の《新編水滸画伝》を思い出す。(記事「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」〜永田コレクション最後の東京公開)

レンゾ・ピアノ設計のガラスブロックのメゾンで感じるのは光。どの時間帯もそれぞれの美しさで迎えてくれる。
採光が美しい。

サンルイ・クリスタルの工房に滞在したクロエ・ケナムのガラスの果物たちも光を浴びて輝いていました。

平凡な果物にも特有の背景があるのに気を留める人はいません。輸入されたり輸出されたりして、欧州の外や中を行き来する果物は、ローカルとグローバルの対立や搾取を語ります。とメンターのイザベル・コルナロ。

リンゴは必ずしもリンゴにみえなくてもいい」。

何処から来たの?何処へ行くの?と語りかけたくなるような果物たち。

外に出ると寒かったけど、光に溢れたガラスブロックに暖められる感覚を覚えました。

ピロティには門松。それでは皆さまよいお年を!

「転移のすがた」アーティスト・レジデンシー10周年記念展
“Formes du transfert” 10 years of Artists’ Residencies

会期:2021年12月17日(金)~2022年4月3日(日)
開館時間:月-土 11:00-20:00(入場は19:30まで)
日 11:00-19:00(入場は18:30まで)

入場料: 無料
会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
(中央区銀座5-4-1 TEL 03-3569-3300)
主催: エルメス財団
後援: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

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