2019.04.01
こんにちは Lulu.です。ドリス ヴァン ノッテン 青山店が2019年3月に10周年を迎えました。
2009年3日20日、ドリス ヴァン ノッテン 青山店オープン。コンセプトは、強さと鋭い感性における日本とヨーロッパの文化の融合。
17世紀に描かれた2つの大きな絵画は6ヶ月もの時間をかけて修復され、2009年1月の終わり、アントワープの港を出発し海を渡ってはるか遠い東京へと向かいました。長い間ドイツ銀行本社にあったこの絵は、銀行閉鎖とともにオークションに出品され、2007年5月、ドリスは偶然にもこの絵画と出会い、そして買い取りました。
『パリスとアポロがアキレスの踵に矢を向け命を狙う』
『アキレスとアガメムノンの口論』
1640年ベルギー、リエージュに生まれたエラルート・デ・ライレッセ(Gerard de Lairesse)によって描かれたこの高さ3メートル、幅2.14メートルもの巨大な絵画は、青山店1階のレディースフロアに飾られています。
青山店の10周年を記念し、ドリス ヴァン ノッテンとの共催により3日間限定の展覧会「INTERPRETATIONS, TOKYO‐17世紀絵画が誘う現代の表現」が原美術館で開催されました。
青山店のコンセプトである「日本とヨーロッパの文化の融合」を実践する手段のひとつとして、この17世紀に描かれた2つの絵画に新たな解釈を加えるコミッションワークとして、ドリスは10年前、アーティスト蜷川実花と堂本右美に作品を依頼しました。
普段は2階のメンズフロアに飾られている2作品。
「モノクロの花」という新たなシリーズを撮るきっかけになったという、蜷川実花さんの『パリスとアポロがアキレスの踵に矢を向け命を狙う』をモノクロームで新解釈した作品。
堂本右美 『but then I thought…』
『アキレスとアガメムノンの口論』をモノクロームで新解釈した作品。
そして10年の時を経て、今回の原美術館での展覧会を前提に、ライレッセ作品との新たな対話に取り組んだのは、安野谷昌穂、石井七歩、そして佐藤允の3作家。
佐藤允 『女神』
ーしかし、この2枚の絵に刻まれているのは、私たちの物語でもあるのだと気づき、神話の続きを描いてみたいと思った。
神話は絵空事ではなく、真実の断片が刻み込まれているように感じる私にはこの言葉が残った。
春らしい演出が麗しかった原美術館でのオープニングカクテル。
初めていただいた蕗の薹(ふきのとう)のお茶。あの苦味とふわりと広がる繊細な香りが「春」で美味、でした。
ああ、ずっとお逢いしたかった方。
コレクション初期から追い続けてきたドリス。1991年にメンズコレクション、1993年にウィメンズコレクションをパリで発表したドリス。初めてドリスの服を手にしてから四半世紀。
スタッフから説明を受け、興味深そうに蕗の薹のお茶を召し上がってらっしゃいました。日本で感じられた何かを、いつかコレクションに反映してくださればこの上なく嬉しい。
いつもお世話になっている方々、ドリスを愛する方々とのご縁に感謝の気持ちでいっぱい。
翌日青山店で開催されたパーティでも、沢山の方々ひとりひとりに丁寧に対応されていたドリス。
そしていつも楽しみにしているのが、イベント時に青山店に飾られる花。
強烈に感性が研ぎ澄まされた方。相手の伝えたいこと、想いの芯を的確に掴む魅力的な方。数える程しかお会いしていないのに通じる方。そんな大好きな花屋の活ける花を見られるのがとても嬉しい。
2016年春夏
2016年秋冬
2017年秋冬
2018年春夏
パートナーのパトリックさんと並んで撮らせてもらっていいですか?との私のお願いも快く引き受けて下さいました。(記事「映画『DRIES:ドリス ヴァン ノッテン ファブリックと花を愛する男』試写会」)
今回強く感じたのは愛。愛って感傷的、感情的なものではなく、どんなものにも、どんな瞬間にもそこに美を見出す感性だと思う。人に対してなら、どんな状況でもその人の善いところを拡大して見る意識。
庭の花を活ける時、採れたばかりの野菜を調理する時、バカンスの計画を立てる時〜どんな瞬間にも全力を捧げるドリス。愛に溢れたドリスと同時代に生き、彼の作り出す服を纏える幸せを噛み締めたい。
きっと毎年桜を見るたびにこの日を想い出す。